空想不動産。 映画やアニメに登場する物件を、現実の不動産屋が、現実の法律と実務に無理やり当てはめて売ってみるシリーズです。
第1回、ハウルの動く城。建物が歩きました。第2回、天空の城ラピュタ。土地ごと飛びました。第3回、トトロの草壁家。ようやく普通の住宅。第4回、ナウシカの城。地下室を開けたら腐海を育てていました。
そして今回。ついに大本命です。
『千と千尋の神隠し』に登場する巨大湯屋、「油屋」を売ります。
豪華です。巨大です。土地に建っています。歩きません。飛びません。地下室から腐海も出てきません。
これは売れる。
そう思いました。
ところが売主さんに話を聞き始めると、どうも様子がおかしい。従業員の名前を奪っています。ボイラー室では謎の黒い生き物が石炭を運んでいます。お客様は八百万の神々。過去には巨大な腐れ神が入浴し、別の日にはカオナシが館内で大暴れ。
そして経営者は、湯婆婆。
……。
これ、不動産売買だけで終わらないやつです。

- まず最初に確認します。「何を売るんですか?」
- 油屋は「不動産」なのか?
- 問題は所在地です
- 建物調査だけで何日かかるんだ
- 最大の問題。木造っぽい巨大湯屋です
- 釜爺のボイラー室、設備点検します
- 釜爺は売買対象ではありません
- 油屋は「公衆浴場」なのか?
- 厨房もあります
- そして一番怖い。湯婆婆の契約書
- 従業員の「名前」は会社の資産ではありません
- 事業を買うなら、従業員が残るかが超重要
- 湯婆婆本人が辞めたらどうなる?
- 顧客は八百万の神様
- でも「神様の顧客名簿」はありますか?
- そして必ず調べたい「腐れ神事件」
- 物件状況報告書に何と書く?
- カオナシ事件も、買収前に確認します
- カオナシ売上を査定に入れてはいけない
- では油屋はいくら儲かっているのか?
- 油屋の価値は3つに分けます
- この内装、再現しようとしたらいくらかかるんだ
- 買主は誰になる?
- 油屋にセルフチェックイン機はいらない
- 重要事項説明を始めます
- 住宅ローンは使えません
- 決済当日に確認したいもの
- でも湯婆婆には半年くらい残ってもらいたい
- 不動産広告を作るなら
- アットホームに載せるのか?
- 結論。油屋を買うということは「世界ごと買う」こと
- 空想不動産 #005
まず最初に確認します。「何を売るんですか?」
湯婆婆から「油屋を売りたい」と相談されたとします。普通なら「分かりました。査定しましょう」と言いたいところですが、油屋の場合はその前に確認しなければなりません。
「油屋の何を売りますか?」
土地と建物だけなのか。それとも浴槽、ボイラー、厨房設備、家具、備品なども含めるのか。さらに「油屋」という営業そのものまで買主へ引き継ぐのか。ここで取引の中身が全く変わります。
建物だけ買って、翌日から湯婆婆も釜爺も従業員も全員いなくなる。巨大な空き湯屋だけ残りました。
これは困ります。
私なら最初から、「不動産売買」と「事業の承継」を分けて考えます。

油屋は「不動産」なのか?
ここはハウルやラピュタより圧倒的に楽です。油屋は土地に建っています。巨大な木造建築らしき外観で、少なくとも自分の脚で歩いたり、土地ごと飛んでいったりはしません。
やっと担保が逃げません。
銀行さん、聞いてください。今回は建物が歩きません。土地も飛びません。
普通です。
……建物についてだけは。
問題は所在地です
不動産屋として当然聞きます。「所在地を教えてください。」
油屋は、トンネルの向こう側にある不思議な世界に建っています。
……。
またここで詰みました。
○○県○○市○○町ではありません。「トンネルを抜けて、しばらく行って、橋を渡ったところです」では登記できません。
そこで今回も空想不動産です。油屋が現実の日本国内に存在し、日本法が適用される場所に建っていると仮定します。そうしないと、また第2回のラピュタみたいに国際法の話まで行きます。
今回は湯屋を売りたいんです。

建物調査だけで何日かかるんだ
まず建物です。油屋はもの凄く大きい。巨大な吹き抜け、客室らしき空間、大浴場、厨房、宴会スペース、従業員区画、ボイラー室、湯婆婆の執務室など、用途の違う空間が一つの建物に詰め込まれています。
不動産屋として見たいのは、建築確認関係書類、図面、登記面積、構造、築年数、増改築履歴、修繕履歴、耐震性能、消防設備、給排水設備。
湯婆婆に聞きます。「竣工図あります?」「検査済証あります?」「大規模修繕はいつしました?」「配管更新は?」「屋根の修繕履歴は?」
……。
魔法で直している可能性があります。
それは修繕履歴にどう書けばいいんでしょう。
最大の問題。木造っぽい巨大湯屋です
見た目からして気になるのが、火災リスクです。巨大な建物。大量の客。厨房。火を使う設備。ボイラー室。そして木造を思わせる構造。
消防設備、全部見せてください。
現実の日本なら、建物の用途、規模、構造などによって建築基準法や消防法上のさまざまな規制が関係します。油屋の場合、浴場だけではありません。厨房もあります。大勢の従業員が働いています。多数のお客様が同時に滞在します。
避難経路は? 非常口は? 消火設備は? 火災報知設備は? 防火区画は?
そして一番気になる場所。
釜爺のボイラー室。
釜爺のボイラー室、設備点検します
油屋の心臓部とも言えるボイラー室。釜爺が働き、大量のお湯を供給しています。不動産取引なら当然、設備として確認したい。
ボイラーのメーカーは? 年式は? 能力は? 点検履歴は? 燃料は? 修理部品はまだ出る?
そして横を見ると、煤のような小さな生き物が大量に石炭を運んでいます。
設備表に、「石炭運搬設備:ススワタリ多数」
……いや。
生き物を設備表に載せてはいけない気がします。
カルシファーで一回やりました。同じ失敗はしません。

釜爺は売買対象ではありません
ここも重要です。買主から「ボイラー室込みですよね?」と言われたら、もちろんボイラー室や設備は売買対象にできます。
でも、釜爺は付いてきません。
釜爺は人です。……人ですよね? 腕は多いですが。少なくとも設備ではありません。
ですので油屋の営業を継続するなら、釜爺本人に引き続き働いてもらえるかどうかは極めて重要です。
買主「釜爺さんが辞めたらどうなります?」
たぶん、お湯が止まります。
不動産価格より重要な問題が出てきました。

油屋は「公衆浴場」なのか?
現実の日本には、公衆浴場法があります。公衆浴場を業として経営する場合には許可が必要とされ、施設の衛生管理などについてもルールがあります。
そこで油屋。大量の神様がお風呂へ入りに来ます。
どう見ても浴場営業です。
ただし現実の日本のどの営業区分に当たるかは、実際のサービス内容や施設形態を詳しく確認しなければなりません。さらに、もし宿泊まで提供しているのであれば、旅館業法との関係も確認が必要です。
ここは勝手に「旅館です」と決められません。
まず湯婆婆に聞きます。
「神様、泊まります?」
ここからです。

厨房もあります
そして油屋には、もの凄い量の料理が出てきます。神様が食べています。従業員も食べています。カオナシに至っては、もの凄い勢いで食べています。
つまり飲食物を提供する営業実態があるなら、現実の日本では食品衛生法に基づく営業許可や衛生管理についても確認が必要になります。
浴場。飲食。場合によっては宿泊。巨大建築。多数の従業員。
許認可の棚卸しだけで一日終わります。

そして一番怖い。湯婆婆の契約書
さて。油屋を買うなら、当然従業員の雇用状況を調べます。そこで出てくるのが、あの契約書です。
千尋は油屋で働くために湯婆婆と契約します。そして名前を奪われ、「千」として働くことになります。
現実のM&Aや事業承継なら、従業員の雇用契約、給与、勤務体系、社会保険、未払賃金、労務トラブルなどは非常に重要な調査対象です。
そこで湯婆婆に聞きます。「従業員名簿を見せてください」
出てきた名簿。千。リン。釜爺。その他大勢。
……。
本名を確認させてください。

従業員の「名前」は会社の資産ではありません
ここ、油屋売却で絶対に書いておきたいところです。仮に土地、建物、浴場設備、厨房設備、屋号、営業上のノウハウなどを買主へ引き継ぐとしても、従業員の名前まで売買対象にはできません。
設備一覧に「千尋の名前 一式」とか書いてはいけません。
湯婆婆の魔法による契約関係は、現実の労働法では整理できません。
というか、整理したくありません。
社会保険労務士さんに見せても、たぶん最初に作品を観てもらうところから始まります。
事業を買うなら、従業員が残るかが超重要
油屋の価値は建物だけではありません。接客する従業員がいる。料理を作る人がいる。浴場を管理する人がいる。釜爺がいる。そして全体を仕切る湯婆婆がいる。
このスタッフが全部抜けてしまったら、買主が手に入れるのは巨大な建物と大量の浴槽だけです。
営業できません。
ですので私なら売買交渉と並行して、主要従業員が継続勤務する意思があるのかを確認します。
特に、釜爺。
この人だけは早めに面談します。
湯婆婆本人が辞めたらどうなる?
そして最大のキーパーソン。湯婆婆。
経営者です。営業を仕切っています。従業員を動かしています。顧客対応をしています。そして魔法も使えます。
買主が油屋を取得して、決済翌日。
湯婆婆「じゃあ、あとはよろしく」
……。
待ってください。
この巨大施設を普通のホテル支配人に渡して、翌日から運営できるとは思えません。私なら一定期間、湯婆婆に業務引継ぎをお願いしたい。
ただし給与交渉はかなり怖いです。

顧客は八百万の神様
そして油屋最大の資産かもしれないのが、顧客です。普通の旅館なら、顧客層、リピーター率、予約経路、客単価、稼働率などを見ます。
油屋。
お客様は神様です。
比喩ではありません。本当に神様です。
この顧客基盤は強い。何百年営業しているのか分かりませんが、八百万の神々に「あそこへ行けば風呂に入れる」と認識されているなら、相当なブランドです。
これ、不動産価値より営業権・ブランド価値の方が大きい可能性があります。

でも「神様の顧客名簿」はありますか?
事業を引き継ぐなら、顧客情報や予約情報などの取扱いも確認したい。湯婆婆に聞きます。「顧客台帳あります?」
もし出てきたら、河の神、春日様、オオトリ様、その他八百万。
顧客属性が強すぎます。
そもそも神様に個人情報保護法上の「個人」がそのまま当てはまるのかという、とんでもない話まで出てきそうなので、ここは専門家に預けます。
私は建物を見ます。
そして必ず調べたい「腐れ神事件」
物件調査では、過去の事故や修繕履歴も重要です。油屋には、とんでもない事故歴があります。
腐れ神が来ています。
正体は汚れきった河の神でした。巨大浴槽へ入り、とんでもない量の汚れやゴミが出てきました。
不動産屋として気になるのは、その後です。浴槽は修理しました? 配管は? 排水管は? 防水層は大丈夫? 異物は残ってない? 清掃記録は?
自転車まで出てきています。
排水管の高圧洗浄くらいでは済まない気がします。

物件状況報告書に何と書く?
売主には、建物や設備の状況を確認します。
雨漏り:要調査
シロアリ:要調査
給排水管:要調査
浴槽:大型浴槽多数
ボイラー:稼働中
厨房設備:あり
過去の重大事故:河の神来館時に大規模汚損
異物:自転車等多数排出歴あり
その他:カオナシによる館内騒動あり
最後の3行が重すぎます。
カオナシ事件も、買収前に確認します
そして避けて通れない、カオナシ。大量の料理を注文し、大量の金をばらまき、従業員が殺到。そして館内は大混乱。
これは買主からすれば聞きたいでしょう。「再発防止策はありますか?」
湯婆婆。
……。
私なら、「カオナシ対応マニュアル」を作ります。
そしてもう一つ。あの日の売上だけ見て、油屋の収益力を評価してはいけません。
あれは特殊要因です。

カオナシ売上を査定に入れてはいけない
収益物件や事業の価値を考えるなら、正常な収益力を見る必要があります。ところが売主から過去の売上表を出してもらったら、一日だけ異常な数字がある。
不動産屋「この日の売上、何があったんですか?」
経理「カオナシです」
……。
除外します。
こんな一過性の異常売上を、そのまま将来収益に乗せたら査定額がおかしくなります。
「来年もカオナシ来ます?」
たぶん分かりません。
正常収益とは言えません。

では油屋はいくら儲かっているのか?
ここが大本命の査定です。油屋は建物の大きさだけで値段を出す物件ではありません。
私は湯婆婆に、最低でも過去数年分の売上、利益、客数、客単価、浴場利用料、飲食売上、人件費、燃料費、修繕費、光熱費などを出してもらいます。
さらに季節変動も見たい。神様にも繁忙期があるのでしょうか。正月はたぶん忙しそうです。
完全に想像ですが。
数字がない以上、今回は適当な価格を付けることはしません。億なのか、百億なのか、それ以上なのか。
まず決算書を見せてください。
これが不動産屋として一番まともな答えです。
油屋の価値は3つに分けます
私なら油屋の価値を、大きく3つに分けて考えます。
① 土地・建物としての不動産価値
巨大な土地、巨大な建物、浴場、厨房、ボイラー、その他設備。まず通常の不動産として評価します。
② 営業中の湯屋としての事業価値
売上、利益、従業員、運営ノウハウ、許認可、仕入先、顧客基盤などから、営業そのものの価値を考えます。
③ 「油屋」という圧倒的なブランド価値
八百万の神々が来館する知名度、歴史、世界観、希少性。ここは普通の温浴施設とは比較できません。
つまり、建物だけ査定しても意味がありません。
この内装、再現しようとしたらいくらかかるんだ
さらに油屋は、建物そのものの再調達原価も恐ろしい。あれだけの規模。あれだけの装飾。階段、欄干、浴場、照明、家具、彫刻、建具、壁、天井。
現代日本で同じ雰囲気を一から再現しようとしたら、一般的な温浴施設とは全く違う工事になるでしょう。
しかも安っぽく作った瞬間、油屋ではなくなります。
「油屋っぽいスーパー銭湯」になります。
それではダメです。
この建物は、古いから価値があるだけではなく、あの空間そのものが商品です。
買主は誰になる?
一般の個人が買う物件ではありません。買主候補として考えるなら、大手ホテル・旅館事業者、温浴施設運営会社、観光事業者、大手不動産会社、投資ファンドなど。
ただし最大の問題があります。
神様を接客できますか?
普通のホテル運営会社が油屋を取得し、翌日から「チェックインはこちらです」ではダメな気がします。
河の神にアプリ会員登録をお願いするのもやめた方がいい。
DXにも限界があります。

油屋にセルフチェックイン機はいらない
買収後にありがちな話。「運営効率化しましょう」。セルフレジを入れる。受付を無人化する。注文をQRコードにする。浴場を省人化する。
……。
やめませんか?
油屋の価値は、効率だけではありません。建物、人、料理、湯気、声、忙しさ、雑多さ。それ全部を含めて油屋です。
全部合理化したら利益率は上がるかもしれません。でも、油屋価値は下がるかもしれません。
トトロの草壁家で「不便さも商品の一部」と考えましたが、油屋も同じです。
非効率も、この物件の商品です。
重要事項説明を始めます
では買主さん。重要事項説明を始めます。
「本物件は大規模な湯屋として使用されています」――はい。
「浴場、厨房、ボイラーその他多数の設備があります」――はい。
「各種営業許可・届出については営業実態と承継方法を個別に確認します」――はい。
「多数の従業員が勤務しています」――はい。
「主要顧客は八百万の神々です」――……はい。
「過去に河の神来館時の大規模な浴場汚損が発生しています」――……。
「また、カオナシによる館内騒動が発生しています」――……。
「なお、経営者は魔法を使用します」
買主。
「ちょっと家族と相談します。」
またです。
住宅ローンは使えません
これはさすがに住宅ローンではありません。事業用融資になります。
ただ、ハウルやラピュタより金融機関との話はできます。建物が逃げませんから。
銀行「担保物件は動きますか?」
「動きません」
銀行「飛びますか?」
「飛びません」
銀行「地下に腐海は?」
「ありません」
銀行「よかったです」
ついに銀行担当者との会話が成立しました。
その後、「顧客は神様です」と説明するまでは。
決済当日に確認したいもの
この規模になると、鍵を渡して残代金を払って終わりではありません。私なら、土地建物の権利関係、売買対象設備、許認可関係、主要契約、従業員関係、営業資産、在庫、運営資料などを整理します。
そして現地で確認。
ボイラー――稼働。
浴場――稼働。
厨房――稼働。
釜爺――いる。
従業員――いる。
湯婆婆――いる。
よし。
決済です。
でも湯婆婆には半年くらい残ってもらいたい
決済した瞬間に湯婆婆が消えてしまうのは怖すぎます。この規模の事業なら、売主による一定期間の引継ぎ支援をお願いしたい。
神様ごとの好み。浴槽の使い分け。薬湯の作り方。従業員管理。トラブル客への対応。ボイラー室との連携。
そして、カオナシが来た時どうするか。
ここは必ず引継書に入れてください。
不動産広告を作るなら
物件名:油屋
価格:応相談
所在地:要確認
種別:大規模温浴・宿泊・飲食複合施設(営業実態要調査)
構造:要調査
築年数:不明
設備:大型浴場・ボイラー・厨房・宴会設備ほか
営業:継続中
主要顧客:八百万の神々
従業員:多数
備考:過去に河の神・カオナシ来館歴あり
キャッチコピーは、もう決まっています。
「神様が、疲れを癒しに来る場所。」
これは強い。
アットホームに載せるのか?
載せてみたい。もの凄く載せてみたい。
ただ、これは通常の売店舗・売旅館の仲介だけでは到底収まりません。大規模不動産売買、事業承継、M&A、許認可、労務、税務、設備、建築、消防。
専門家チームを組みます。
不動産屋一人で湯婆婆と交渉するのは嫌です。
絶対に名前を取られます。
結論。油屋を買うということは「世界ごと買う」こと
今回、油屋を売ろうとして分かったことがあります。これは巨大な建物を売るだけの話ではありません。
浴場があります。厨房があります。ボイラーがあります。従業員がいます。釜爺がいます。常連の神様がいます。長年積み重ねてきた営業があります。
そして何より、油屋という「世界」があります。
土地と建物だけ買っても油屋にはなりません。
逆に建物が多少古くても、釜爺が火を焚き、従業員が走り回り、厨房から料理が運ばれ、夜になれば神様が橋を渡ってやってくる。
それなら油屋です。
不動産屋として査定するなら、建物の価値はもちろん調べます。でも、この物件で本当に買主が買うものは、建物ではないのかもしれません。
「神様が風呂に入りに来る商売」そのものです。
空想不動産 #005
ハウルでは建物が動きました。ラピュタでは土地が動きました。トトロでは本気で住宅査定をしました。ナウシカでは地下室を開けたら世界の謎がありました。
そして油屋。建物を調べていたら、会社ごと買う話になりました。
不動産って面白い。同じ「建物を売る」でも、中で何をやっているかによって、取引の中身は全く変わります。
最後に湯婆婆へ確認します。
「売却理由を教えていただけますか?」
……。
ここだけは、機嫌のいい日に聞こうと思います。
参考にした主な法令・公的資料
※この記事について
本記事は、映画『千と千尋の神隠し』に登場する架空の湯屋「油屋」が現実の日本に存在し、売却されることになった場合を想定した「空想不動産」としての考察記事です。
記事内では、日本国内に油屋が存在し、日本法が適用されるという架空の前提で、不動産売買・事業承継・建築・消防・公衆浴場・飲食・宿泊・労務等について考察しています。実際にどの法律・許認可が適用されるかは、建物の規模、構造、営業内容、サービス形態、所在地その他の条件によって異なります。
また、従業員の雇用承継、営業許可、顧客情報、事業価値等については、不動産の所有権移転とは別途整理が必要となる事項です。本記事は具体的な法律相談、税務相談、M&A助言等を目的とするものではありません。
現実に神様専用の巨大湯屋を売却される場合は、不動産会社だけでなく、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士、建築士、消防・保健所その他関係行政機関へご相談ください。
そして契約書へ名前を書く前に、必ず全文を読んでください。


