以前、入手した『天気の子』のコレクターズエディションが非常に素晴らしかったので、『君の名は』も購入しました。
天気の子コレクターズエディションは『4K UHD』ディスクを目当てに買ったんですが、特典ディスク非常に優れており、制作風景、監督や声優、音楽陣のインタビューなど作品への理解が進む制作ドキュメンタリーを観ることが出来ました。
3枚にも渡る特典ディスクが秀逸なのです!
遡って購入した、本作『君の名は』も同様に特典が非常に充実していました。
それでは、。お話も含め、各ディスクごとにレビューしてきます。
4K(UHD)ディスクレビュー
【DISK5 本編UHDディスク】
(解像度)2,160p ※HDR
(音声)
1.日本語 5.1ch DTS-HD master audio
2.日本語 2.0ch DTS-HD master audio
3.英語主題歌版 5.1ch DTS-HD master audio
4.音声ガイド 2.0ch DTS-HD master audio
※UHDと通常のBDディスクスの差は解像度(通常BDは1,080P)と通常BDはHDR非対応です。
音声フォーマットは同様。
(視聴環境)プレイヤーPS5、有機ELテレビ、4K(HDR対応)。
2KフォーマットのBDと比べてタテヨコ2倍で4倍の情報量を持つ4K画質は映像に奥行きと深みを与えています。
しかし、それよりも圧倒期なパフォーマンスを出しているのがHDRの恩恵。
元々、光の表現(フレア)が多様されている映画アニメーションという事もあり、光の周りが実に鮮明で綺麗。
周囲も黒つぶれする事なく、明るく明瞭に視聴する事ができます。
新海誠監督ほど、光と風景を美しく表現する映像作家はいないと思います。
ドキュメンタリー部で語られていましたが、新海監督が背景スタッフに指示したのは都会の美しさを出すという事でした。
飛騨の糸守町と東京を分け隔て無く、先入観なく美しく描くという事に拘っっています。
自然は綺麗に描写しがちですが、都市というのはそうは行かない。
だけど、都市の美しさというのは存在するから、そこを活かすという事が述べられていました。
『そのどちらもが美しくなければいけない!』
それぞれが出会わずに、体が入れ替わり別々の街で暮らし互いを好きになっていく、その過程では街がキラキラと美しくなければ観客を説得できないと監督が語っています。
その、美しい光の表現、陰影を余す所なく視聴するにはHDRは必須かと思います。
映像の視聴感は劇場を遥かに上回っていました。
音に関しては5.1ch(スピーカーは7本+サブウーハー)で視聴しましたが、、、
さずがに、音の出力限界もあり劇場には及びませんでした。
※音を上げる事は出来ますが、個人宅視聴では色んな意味で音を上げる限界があります。
ただ、DTSーHD の迫力のサウラウンド感は実感できます。
【本編BDディスク】※未視聴のために割愛させて頂いています。
【特典ディスク1】
(ビデオコンテ)
新海誠監督は絵コンテでは無く、ビデオコンテという手法を使って映像制作をしていきます。
絵コンテとはアニメの設計図のような物でキーとなるカットを落とし込んだ物です。
これに、動きやセリフを充てた物がビデオコンテ。
このビデオコンテが収録されており、実際の映像表現との差異を観て楽しむ事ができます。
(君の名は。メイキングドキュメンタリー)
製作現場の熱量が伝わってきます。
本作の作画監督には、ジブリの『千と千尋の神隠し』『思い出のマーニー』で作画監督を務めた安藤雅司が起用されています。
1年という製作スケジュールとう事で、後から進行を追い上げればいいと監督は思っていたそうですが、安藤雅司は1年しか時間が無いと製作に臨んでいたそうです。
『1年だと割り返すと1日何カットは描かないといけない』
朝早く来て、ほとんど席から立たずに仕事をしている、その姿勢に宮崎駿監督を始めてとする日本のアニメーターの凄を感じたそうです。
そして、そういった物づくりに感銘を受け、製作をしていくという事が非常に勉強になったと語られていました。ドキュメンタリーでは、宮崎駿監督やジブリの事が何度か話に出てきていました。
キャラクターデザインは『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のキャラクターデザインを行った田中将賀。
魅力的でキャッチーなキャラクターが物語に楽しさと共感をもたらしています。
凄くコミカルな動きもあって笑えて、泣ける!
感情の振れ幅は大きくさせる、物語を魅力的なキャラクター達が支えています。
監督曰く、田中将賀の凄いところは、そのキャラクターがきている服(ファッション)や小物に至るまで綿密に設計してる事で、何故そのファッションなのか人生やバックグランドを全て反映している事だそうでうす。
他にもこの、ドキュメントを見て語りたい事はたくさんありますがキリが無いので、これを最後にします。
それは、新海誠監督の言葉遣いです。
『観客のことをお客さん』ということが度々あります。
実はこのワード、天気の子でのインタビューではされに多く登場します。
これは監督の作品づくりの変遷と推察しています。
個人制作でアニメを制作していた初期作(ほしのこえ)〜秒速5センチメートルまでは非常に作家性が強く哲学的な作品が多いです。
『星を追う子供』から『言の葉の庭』で大規模な制作現場に変わっていき多数の意見が反映されるようになり、『君の名は。』で完全にエンタメに吹っ切れる!!
監督本人も楽しめる作品というのを優先していると語っていました。
実はこの流れと逆に行ったアニメーション作家がいます。
もう、おわかりだと思いますが『宮崎駿監督』です。
エンタメの中に思いを潜ませた宮崎作品、エンタメと成立させた上で作家性(別の物語)を作品に埋め込んでいました。
ですが、エンターテイメント性(観客を楽しませる)を優先していたと思います。
それが、『君たちはどう生きるか』でそれらは逆転し作家性がメインに出てくるのです。
(個)のアニメーションでした。
監督が言いたいことを直球でなげてしまっている。
まぁ、それでもエンタメとして成立してはさせてしまってるのが、宮崎駿監督の凄みではありますが複雑難解でそれを考察し考え楽しむアートのような作品となりました。
凄まじく凄い作品ですが手放しでスカッと楽しむ事は難しいでしょう。
全力で作品をエンタメに持っていった新海誠監督。
それは、世代や性別を超えて楽しむ事のできる作品だと言えます。
観客のことを『お客さん』とう新海誠監督は間違いなく、僕たちの観たい物を気持ちよく魅せてくれます。
では、何故エンタメ化していったのか?
監督自身が語っていましたが、大勢に届く物にしたかったそうです。
でも、それだけで終わらず映画を観て帰りに何かを持って帰って欲しいというのが根底にあり、感じ方や思いのベクトルはそれぞれ違うと思いますは、人生に影響を与えるメッセージが織り込まれている事は確かです。
(RADWINPS)
音楽は全編RADWINPSが担当、ロックバンドが劇中曲を全編担当するという試み。
クラシックの気持ちいいストリングからのポップソング。
そこにリンクする映像と物語、かぶさってかぶさって泣ける。
物語では「結」ということがテーマでもありますが、レジェンドと言われるアニメータの作画×美しい背景×素晴らしい声優×絶妙すぎる音楽それらを監督が見事に着地点まで持っていった結ばれた作品だと理解することが出来ました。
RADWINPSのファンで音楽を全編依頼した新海誠監督。
音のやりとりは、何度もやりとりがありキャッチポールが繰り返されたそうです。
これ、大変まのがわかります。
筆者も仕事でそんなやり取りを経験しましが、これキャッチボールもスピードがどんどん上がって大変になってくるんですよね。
信頼関係のある殴り合いになって来ます妥協なく真剣だからこそ、このようになりますが結果は大体上手く行きます。
色々と託された『RADWINPS』本当に大変だったと思いますが、実に実に素晴らしい音楽あってのこの映画になっていると思います。
【特典ディスク2】
・ビジュアルコメンタリー(神木龍之介、上白石萌音、RADWINPS)
・ノンテロップ オープニング
・未使用音声クリップ
・サントリー天然水CM
・スパークル(オリジナルver)
貴重な映像満載の特典ディスク2
・俳優(声優)とRADWINPSが語るオーディオコメンタリーは、アニメ製作者と違った俳優や音楽家の視点で作品を見ることが出来て新鮮です。
より深く作品を理解することができ、ファンは滅茶苦茶に楽しめると思います。
・貴重なノンテロップのオーブニング。
テレビアニメは通常、オープニング(曲)から「ストリー名」そして物語が始まりますが、
アニメ映画でオープニングが用意されている作品って非常に少ないと思います。
テレビみたいな試みがなされています。
・サントリー天然水のCM集が収録されていますが、これが滅茶苦茶なつかしく劇場公開当時を思い出させてくれました。
劇場で予告編を見た時は面白そうとは思いましたが、それまでの監督の作品を知っていたからまさかこんな娯楽性の高い映画になってるとは夢にも思いませんでした。
【特典ディスク3】
・『君の名は。』の物語〜現代の物語の役割〜新海誠監督講演映像
・イベント記録映像集
実は特典ディスクで一番素晴らしいと思ったのはDISC3!!
監督の講演が全編収録されているのですが、物語の作り方の手法解説など講演されています。
それの内容が実に素晴らしく、筆者も物語の捉え方の思考が随分と変わりました。
まず、『君の名は。』の構造。
本作の前半はボーイミーツガール。
ボーイミーツガール物の基本構造は絶対にこうなる!
(1)少年が少女と出会う。(2)少女を失う(3)少女を取り戻す。
後半は少年と少女が街を救う物語。
この二つの構造に載せて物語を進める脚本となっており、こういう二重構造にしてあるのが現代の物語の特徴であるとう事が述べられるのですが、なるほどと思いました。
これとは逆に昔の物語、『むかし話』はシンプルに1層構造です。
・亀を助けて竜宮城に行く物語。
・鬼を退治しに行く物語。
など、口伝で伝えていくような物語はシンプルでないと伝えられないそうです。
『物語の基本は行って帰ってくる』
千と千尋の神隠し:ふしぎの街に行って帰ってくる。
本作:時を超えて異世界に行って帰ってくる。
先の昔話も、竜宮城に行って帰ってくる、鬼ヶ島に行って帰ってくる。
物語の最小はこれ!!!
さらに、これを究極化すると「いないないばあ」
これは人が初めて出会う物語だそうで、お母さんがいなくなり、帰ってくる。
この「いないないばあ」万国共通で行われています。
「君の名は。」は、こういった人類にとって共通のシンプルな文法を取り入れ、さらに神話や古典文学のエッセンスをちりばめ普遍的な物語を目ざしています。
それらは、誰にも当てはまるから気持ちを持っていかれちゃうんですね。
他にも、色々な物語を理解するのに役立つ事が多数語られており、この講演で語られる様々が、難解な映画を見る時にもそれを読み解く技のような物を手渡してくれました。
【プレミアムなディスクケース】
ケースを開けると、、、主役が向き合っています。
さらに広げると1枚の絵になっています。
(書き下ろし6面デジパック)
【特典】
台本が付属しており、気になったシーンをぱっと見返す事ができます。
ミニキャラシール
『君の名は。』公式動画
・BD&DVDコメント入り発売告知映像
・ビジュアルコメンタリー映像
・特典ディスク1~3ダイジェスト映像
色々と付属して、その世界に丸ごとダイブしちゃえる、『君の名は。』コレクターズエディション。
本当におすすめ出来ます!!