ついに入手!!探し求めた1枚(ギルバート・オサリヴァン|アローンアゲイン

アナログ盤

ついに入手!!――探し求めた1枚

ギルバート・オサリヴァンのアナログ盤『アローン・アゲイン』。
本当に長いこと探していたそのレコードを、とうとう手に入れました。
信じられないことに、ヤフオクで“普通に”激安で出品されていたんです。
あんなに必死で探していたのに、「こんな値段でいいの?」と驚くほど。

でも、結果オーライ。
欲しかった1枚を、ようやく自分の棚に迎え入れた喜びは大きくて。
そして、ふとあの頃を思い出します。

最初にアルバム収録曲『Alone Again (Naturally)(アローン・アゲイン)』を聴いたのは、確か90年代初頭。
テレビのタバコのCMで流れていた断片的なメロディが、脳裏に残っていました。
「なんだこれ、すごくいい曲だな」
軽く、そう思っただけで、意図を深く考えずに流していたあの頃の自分。

その後、洋楽好きの彼女から
「この歌、かなり暗い内容だよ。」
と言われて、CDで歌詞をじっくり追ってみたとき、心が揺れました。
ライナーノーツを読み、曲の背景を知るにつれて、思わず息が詰まりそうになったことも。

けれど、不思議なことに、アルバムを通して聴き終えると“救われた”ような気持ちが残るのです。
その感覚が、今も僕をこの盤の前に引き戻します。

ジャケット・デザインについて

モノクロームの写真がメインで、木の幹の陰に隠れるように佇む少年の姿。
少年は喜んでいるようでも、驚いているようでもあります。
語らぬ視線”と“余白”が巧みに使われていて、見る側に想像の余地を残すように設計されています。
暗くなりすぎない空気を残しつつ、内面を覗かせる。
そのバランスが、このアルバムにふさわしい“顔”になっていると思います。

アルバム『アローン・アゲイン』

このアルバムはギルバート・オサリヴァンの代表曲をまとめたものです。
“Alone Again (Naturally)”を中心に据えつつ、「Clair」「Nothing Rhymed」「Get Down」なども収録されており、彼というアーティストの多面性を感じさせる選曲構成です。

この選曲の妙が、“暗”と“明”を往復させながら、最終的に“救い”を感じさせる流れを作っている。
真ん中に最も陰りのある曲を据えながら、前後に温かさ、あるいは希望を感じる曲を配することで、聴き終えたときに「光の残響」が立ち上がるような構造になっています。

“暗い歌”として語られがちな「Alone Again (Naturally)」だけを聴くと、それは確かに重い曲です。
失恋、絶望、両親の死、神への問い――そうしたテーマが、詞に次々と顔を出します。
でも、その“暗さ”が、彼の歌とアレンジ、声の佇まいによって、鋭く刺すより先に、
優しく包まれるようなトーンになっているのが肝。

このアルバム版を通して聴くと、その包容力がより際立つように感じられます。
つまり、この盤を通して経験するのは『痛みにただ飲まれる時間ではなく、痛みを含みつつも人間として前へ出ようとする時間』
その旅路を“1枚”のアルバムで体感できることが、この作品の魅力だと思います。

また、日本でこの曲が何度も再浮上した背景を考えると、
“どこかで聴いたことがある”という懐かしさを、新しい世代が「いい曲だ」と再発見してきたからだと思います。

今、この曲を聴いて思う事

若い頃は、ただ“いい曲だ”という感覚で聴いていた。
でも今は、言葉の裏側、“生きることの孤独”と“それでも進もうとする意思”を聴き取れます。

このジャケットを眺めるたび、あの少年の眼差しと、
「al­one again」という言葉の余白と響きが、胸を揺らします。
そして、アルバムを終えて盤を止めた後にも、
なぜか“救われた気持ち”が残る――その余韻を確かに感じられるのが、この1枚。

そして、いつか誰かにこのアルバムをプレゼントしたいと思っています。

タイトルとURLをコピーしました