映画の家、本気で売ってみました。新連載「空想不動産」スタート|全7記事まとめ

不動産調査

映画の家、本気で売ってみました。新連載「空想不動産」スタート|全7記事まとめ

不動産屋を長くやっていると、映画やアニメを見ていても、妙なところが気になります。

「この家、いくらするんだろう?」
「この土地、誰のもの?」
「これ、住宅ローン通るの?」
「そもそも登記できるの?」

たぶん普通の人は、そんなことを考えながら映画を見ていません。

でも、不動産屋は考えてしまうんです。

ということで。

姉妹ブログ「そらいろ百貨店」で、新しい連載を始めました。

「空想不動産」、スタートしました。

テーマはシンプルです。

映画やアニメに登場する物件を、現実の不動産屋が、現実の法律と実務に無理やり当てはめて売ってみる。

査定します。
権利関係を考えます。
重要事項説明も考えます。
住宅ローンも考えます。
場合によっては登記についても悩みます。

もちろん全部、空想です。

でも、不動産については結構本気です。

そしてスタートして数日。

気がつけば一気に7物件も取り扱っていました。

今回は「恋する不動産」でも、その全7記事をご紹介します。


#001 ハウルの動く城を売買したい。そもそも、あれは不動産なのか?

記念すべき第1号物件。

いきなり難易度MAXでした。

建物が歩きます。

不動産とは読んで字のごとく「動かない財産」。

ところがハウルの城は動く。

では、これは不動産なのか?
動産なのか?
所在地はどこなのか?
登記はできるのか?
住宅ローンの担保に取ってくれる銀行はあるのか?

不動産屋として入口から完全に迷子になりました。

でも、この無茶苦茶さこそ「空想不動産」の原点です。


#002 天空の城ラピュタを売買したい。土地ごと空を飛んでいます。

ハウルの次は、もう少し簡単な物件にしよう。

そう思いました。

土地ごと飛んでいました。

建物だけならまだしも、今度は島そのものです。

土地はある。
城もある。
庭もある。
鉱物資源までありそう。

ただし所在地は空。

さらに古代兵器付き。

ラピュタを現実に売買するとしたら、所有権はどうなるのか。
国籍は?
領土は?
航空法は?
文化財は?

不動産屋の仕事だったはずが、途中から国交省どころか国際問題になっていきます。


#003 トトロの草壁家、売るならいくら?本気で査定してみた

第3回。

ようやく普通の住宅です。

動きません。飛びません。兵器もありません。

最高です。

『となりのトトロ』で草壁一家が暮らす、あの古い家。

古民家として考えた場合の建物評価、土地価格、建物の状態、立地、再建築、リフォームなどを考えながら、「現実に売るならいくらなのか?」を本気で査定しました。

映画の中では愛すべき家でも、不動産査定となれば話は別。

雨漏りは?
基礎は?
耐震性は?
お風呂は?
そして、あの柱は大丈夫なのか?

空想なのに、途中から完全に不動産査定になっています。


#004 ナウシカの城を売りたい。地下室で腐海を育てています。

普通の住宅が続くと思ったら、また問題物件です。

風の谷のナウシカが暮らす城。

王族の居城ですから、建物としての価値はかなり高そうです。

ところが。

地下室で腐海の植物を育てています。

売主様。

これは告知してください。

腐海。
胞子。
地下室。
秘密の研究施設。

現実の不動産取引に置き換えると、なかなか強烈なワードが並びます。

でも、ナウシカが地下室で見つけたものを考えると、この「地下室」は単なるマイナス要因とも言い切れない。

物語と不動産価値が交差していく、かなり好きな回です。


#005 『千と千尋』の油屋を売りたい。神様専用の巨大湯屋を本気で査定する

そして巨大物件。

『千と千尋の神隠し』の油屋です。

最初は建物を査定するつもりでした。

ところが考えれば考えるほど、

「これ、不動産だけ売る話じゃないな……」

となってきます。

従業員がいる。
宿泊・入浴設備がある。
飲食もある。
固定客どころか神様まで来る。
ブランド力は圧倒的。
経営者は湯婆婆。

となるとこれは、

建物売買ではなく事業譲渡やM&Aなのでは?

という話になっていきます。

とうとう空想不動産、会社まで買い始めました。


#006 グーチョキパン店を売りたい。キキから家賃は取っていますか?

『魔女の宅急便』から、グーチョキパン店。

パン屋さんとしても魅力的ですが、不動産屋としてどうしても気になることがあります。

キキは、お店の屋根裏部屋で暮らしています。

そこで疑問。

おソノさん、キキから家賃取っています?

住み込み?
使用貸借?
賃貸借?
給与の現物支給?
働く代わりに住居を提供している?

考え始めると、意外と奥が深い。

そして空想不動産なりに調べていった結果、

キキの家賃、実質0円説。

なかなか面白いところに着地しました。

不動産賃貸管理をしている人には、特に読んでほしい回です。


#007 『耳をすませば』雫のマンションを売りたい。あの眺望、いくらになりますか?

そして現在の最新作。

月島雫が家族と暮らす、あの団地型マンションです。

ここに来て、ついに、

本当に査定できそうな物件が来ました。

推定約49.68㎡。
2LDK。
RC造5階建。
4階部分。
東京都多摩市周辺。

築年数や周辺相場、旧耐震、エレベーターの有無、住宅ローン、管理状況まで考えながら、本気で価格を出しました。

査定価格は――

880万円。

売出価格は、

980万円。

そして今回、どうしても査定したかったのが、

「あの窓から見える景色」です。

眺望には市場価格があります。

でも同時に、

その人にしか分からない価値もあります。

不動産の価格と、映画の物語が一番きれいに重なった回になった気がしています。


不動産って、空想にすると意外と分かりやすい。

「空想不動産」は、もちろん遊びです。

ハウルの城が実際に売りに出ることはありません。
ラピュタの登記簿も取れません。
草壁さんから査定依頼が来ることもありません。

たぶん。

でも、空想の物件に現実のルールを当てはめてみると、不思議なくらい本物の不動産の仕組みが見えてきます。

所有権とは何なのか。
土地と建物はどう評価するのか。
古い建物を買う時には何を見るのか。
マンションの価格は何で決まるのか。
住宅ローンは物件によって使えないことがあるのか。
賃貸借と使用貸借は何が違うのか。
事業用不動産を売るというのはどういうことなのか。

普段なら少し難しく感じる不動産の話も、

「ハウルの城なら?」

と考えると、急に面白くなります。


真面目に不動産をやっているからこそ、全力でふざけてみる。

普段、私たちは現実の不動産を扱っています。

契約があります。
法律があります。
お客様の大切なお金が動きます。

だから当然、仕事では真剣です。

でも、その知識を全部使って、

誰からも頼まれていない物件を本気で査定する。

そんな遊びがあってもいい。

むしろ、不動産という仕事の面白さを知ってもらう入口としては、こういう方法もありなのではないかと思っています。

映画が好きな方。
ジブリが好きな方。
不動産が好きな方。

そして、

「この物件、現実に売ったらどうなるんだろう?」

と一度でも考えたことがある方。

ぜひ、姉妹ブログ「そらいろ百貨店」の新連載、

「空想不動産」

を覗いてみてください。

現在7物件。

まだまだ、世の中には売ってみたい物件が山ほどあります。

次は何を売ろうかな。

……。

できれば次こそ、地面に固定されている物件をお願いします。



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