平成狸合戦ぽんぽこ!あれ、これ、こんな泣ける映画だったけ!

スタジオジブリ

金曜ロードショー さよなら平成 2週連スタジオジブリ
4月5日、高畑勲監督の命日に平成狸合戦ぽんぽこが放送されました。

この作品、数十年前にみたんですが当時の私にはナウシカやラピュタの宮崎駿監督作品の方が感情移入しやすく、高畑監督作品はそんなでした。
なんか凄い作画とメッセージ性だなと思ってたくらいです。

そして、昨日放送された平成狸合戦ぽんぽこ、凄かったんです。
この物語の狸の描き分けには4タイプあります。
写実型、二補足歩行型、フナフニャ形(ほぼワントーンで描いた簡素化形)、人間に変化したタイプ。
物語の冒頭に説明が入るんですが、狸は普段人間が見ていない時は二足歩行型ということです。

物語中にふと、写実型になったりするんですが、これは人間がみた視点。
劇中に人間がいなくとも写実型で描かれるシーンがあります。
これは、人間=見ている観客という事だと思います。

この切り分けが見事で、観客が狸の視点と人の視点を行き来し双方の立場、感情を本能的に理解することが出来ます。
そして、写実型の狸のアニメーション!
この描写がリアルです、狸の生態が本物以上にリアルに見えるんです。
実はアニメで4本足の動物が走るシーンを作るのは大変です。
良く馬が走っているシーンなど足元は草で隠れているのは、その手間省きです。
が、、、この映画には複雑な狸の動きを完全再現しています。
この本物志向が二足歩行型にもリアリティを持たせているんじゃないでしょうか?

狸の化学(バケガク)も詳しく考証されています。
変化の術も2タイプあります、形を変える擬態、そのものに変化する術。
擬態はカメレオンなどに近い変化です、そのものに変化する術これが狸の化学で劇中では人間や妖怪、茶釜に化けます。
されには、狸が化けるときに使う葉っぱについても述べられているんですが、これは補助的に使うものであり化学レベルの低い狸が使うものらしいです。
この説明が物語のなかのキャラクターの言葉として自然に述べられすっと入ってきます!

そして、変化シーンで忍者のようにドロンって煙は立ちません。
変化は精神集中による極点での細胞変化によるもの。
その変身シーンは走りながらだったり、空中1回転だったりするんですが、、、
それを、描ききるのは驚きでしかありません。

物語が先に進むと中盤当たりで狸総動員の妖怪大作戦が決行されます。
この妖怪大作戦がまた圧巻!
もうこれでクライマックスでいいんじゃないってくらいの一大スペクタル!
ありとあらる妖怪!

花咲じいさん、狐の嫁入り、ミニ阿波踊り、風神雷神、付喪神、鳥獣戯画、ガイコツ、入道、などなど
豪華絢爛の妖怪大作線!
伝承による妖怪がこれでもかってくらいに登場します。
特に鳥獣戯画が歩いてるシーンはうぉおおってなりました。(個人的に好きなんで)

後の高畑監督作品、かぐや姫の物語の天井人が既に登場しています。
あれ、宇宙人ですよね。
ナショジオの古代宇宙飛行士説が頭をよぎります。

《宮崎作品のキャラクターも登場しました》

そして、紆余曲折あり本当の物語は終盤へと進んでいきます。

そして、終盤テレビ局が狸を取材に来るシーン、、
狸達が沢山の森の動物達に変化し最後は鳥になって飛び立ちます。
はいこのシーンでうるうる来ました。

ところ狭しと飛び跳ねる動物たち、、、
ウサギ、猪、狐、鹿は、この森の動物達の声を狸が人間に対して代弁。
そして、鳥になるシーンの美しさ。
ジブリ美術館にロボット兵(ラピュタに登場)の上昇気流といゾートロープの展示があるんでうすが、まさにそれ。
ジーンときました。

そして、物語は真のクライマックスへ。
狸達が変化の術を使って街並みを多摩丘陵に変化させるんですが、、
これが実に美しい。

最初は、もののけ姫のラストシーンのようだと思いましたが、またそれとは別の意図を感じます。
宮崎駿監督のもののけ姫のラストシーン少なからずと影響を与えてるんじゃないでしょうか。

これが、郷愁をそそるシーンの連続なんです。
炭焼き小屋、道ぶちのお地蔵様に挨拶する兄弟、蒔きのお風呂。
しまいには、開発で登場したマンションに住む住人の子供時代の自身や家族。
それを見た本人が慌てて家族に駆け寄っていきます。

そして、最後に狸から観客向けメッセージが。
カメラ目線で語りかえる、狸達のシンプルなメッセージが胸に刻まれます。

これ、実は一大スペクタクル巨編でした!!!
監督は、多摩丘陵の広大な山が開発されているのを見て、こんなにも人の手で変えてしまっていいのかとう問題意識で描いたとデータ放送に出ていました。
その意図もあったかもしれませんが、このアニメ映画は「折り合い」というものを描いているように私は思います。
そして、観た人それぞれの解釈が出来るように周到に作られているから、それぞに深く突き刺さるんではないでしょうか。

そして、狸は今もあなたの側で力強く生きている!という希望も持たせたエンディング。
でも、それは無理して馴染もうとしてる現代人にも見えるという二重構造。
それも見る人次第でいかようにも取っていいとう懐の深いアニメ映画です。

文献や製作過程を読んでの感想ではなく、思ったままを書いちゃいましたが、この映画素晴らしさは本物です。

そして、来週の金曜ロードショーは「風たちぬ」こちらも楽しみです。

タイトルとURLをコピーしました