【夜逃げの現場に遭遇】明け渡し訴訟準備中の物件でまさかの夜逃げ(いや昼逃げ)|【賃貸マンション管理事件簿】夜逃げ編

事件

【賃貸マンション管理事件簿】夜逃げ編。

賃貸マンションを管理していてば、思いがけない事が起こる事もしばしば。
今回は結果オーライになった事件をご紹介します。

遡る事2~3年前の出来事です。
当店に管理が移管してから、即入金が無く代位弁済を依頼していた物件。

鋭い読者の方は、あーーーー家賃保証会社が明け渡し訴訟をしたんだろうな~。
そんな記事を想像されたと思いますが、、、

「否」

実は思わぬ事に始まり、思いもよらない顛末を迎える出来事なのです。
そでは、順を追って当時を振り返って参ります。

【家賃保証会社よりの保証委託契約の解除】

保証会社の代位弁済により当店には毎月家賃入金があり、入居者も遅れながらも保証会社に家賃を支払っていました。
保証会社への滞納期間も2ヵ月行かないといった所でした。
そんなこんなで管理移管後1年半くらい経過した頃、入居者より保証会社への家賃支払いも遂に途絶えてしまいました。

そして、、、、
そして、保証会社が建物明け渡し訴訟を提起する事になりました。

「じゃあ、そのまま保証会社が動くから問題ないでしょ」という事になりますよね普通は、、、。

しかし、そうはならなかった理由。
「契約書が無い!!」そう、転売を繰り返されたこの物件、、、。
所有者が変わった際に契約書が無くなっていたのです。
重要事項説明書だけは残っていました。

ここが、保証会社の保証解除要件に触れて保証が無くなりました。
保証会社の担当の方も良く対応して頂いており、この件でも色々と動いて頂きましたのでこれは仕方ないと納得せざる得ないといった状況です。

※少しだけ記事を内容を逸れますが、読者様の今後の参考になりますので記載しておきます。
《保証会社の契約解除要件は知っておきましょう》
なんでも、かんでも保証される訳ではなく、保証会社ごとに異なります。
例として多いのは、本人が死亡した場合や破産した場合は保証契約が解除になるという条項です。
特に破産の場合は、債務自体が無くなるので請求できないというのが理由となります。

【建物明け渡し訴訟へ】

契約書は無いけれども、建物の賃貸借契は行われています。
本人が保証会社への弁済も行っている事からも明白。
事件の内容からすると、弁護士先生に依頼するのが順当だと思いオーナー様にアドバイスを行いました。

※既に当店で電気メーターが回っている事の証拠写真、家賃請求書をポストに投函する所などの撮影は済ませていました。
弁護士先生に相談する時に話をスムーズにするためです。あくまでも事務的なご連絡と管理業務の範囲内で許容されると想定される撮影に留めています。

オーナー様が直接実施する場合は別にして、管理会社という立場だけで債権回収業務を行う事は出来ません。
これは、弁護士法の非弁護行為に該当する場合があります。
(参考リンク)どこからが非弁行為?不動産業界:2020.8vol.69
https://www.avance-lg.com/news/news_vol69_fixed_property.html

弁護士相談に行く前にオーナー様が出来る事はやってみるという事になりオーナー様より内容証明郵便、配達証明郵便を発送。

結果、、、、、、、音沙汰も無し。
あ~これは、裁判で判決貰わないと駄目だなと、オーナー様を先生にご紹介する段取りを考えてました。

 

【夜逃げ、いや昼逃げ現場に遭遇】

そして、事態は急展開を迎えます。
定期巡回でマンションを訪問した際に・・・・・。

トラックに冷蔵庫を運びこむ入居者を発見!!!
間違いない!!

満室で退去も入居も予定が無いマンションで大量の荷物をトラックに積み込んでいる。

ほぼ、確定!!!
家賃を支払わず転居というか、逃げる現場じゃないかこれ。

ガタイのいい、建設業の服を着たその男!!
何かあった速攻スタートダッシュで逃げるこころの準備をしながら声をかけます!!
(携帯の緊急通報ボタンいつでも押せる状態。)
こちらも、「逃げるは恥だが役に立つ」モード。

私「●●さん何をしてるんですか?」
男「いや、母親に冷蔵庫をあげるんで運んでるんですよ」

!???

思いもよらない斬新な言い訳に、こけそうになりました。
(あー昔テレビで見たドリフのコントって実際そうなる場合があるんだなあ、などと意味不明な回想がもたげてきます。)

私「いや、、、、なわけ無いでしょう(ちょっと怒り気味)」

そんなやりとりが5分程度あったでしょうか?
相手も非を認めました。

(必要な物だけ持って、何も知らせずに転居)

 

そして、30秒くらいで頭を高速回転させ答えを導き出します!!

「賃貸契約解除」「契約が実在していた事の証明」「転居先の確認」「現在の勤務先の確認」「本人が署名した証拠」

現場でそのような様式を持っている訳ではなく、契約解除の文章を口頭で伝えそれを全て自筆で書いて貰いました。
ちゃんとした用紙も無いために車に乗せていたノートに記載してもらうとう離れ技。
(万が一残地物が残った場合の対応文も入れておきましょう。)

勿論、文章には転居先住所・携帯番号・勤務先・勤務先名・勤務先電話番号を記入頂きました。
そして、本人の同意を得て文書を持って頂きスマホで写真撮影。

これで、上記の事が満たされる!!

早速、オーナー様に事の顛末をLINEで報告。
※百聞は一見にしかずというやつです。

数分後、「ありがとうございます」等々カワ(・∀・)イイ!! LINEスタンプやお礼の返信がありました。
(女性のオーナー様です。)

そして、現状回復費(契約書記載のルームクリーニング代・滞納家賃)は分割で支払いたいと本人より申し出を受けました。

毎月1万円返済×8回の予定でしたが、、、6回目程度までいって行方不明。
裁判費用、残地物処分費用、現状回復費用などなど、恐らく40万円程度の損失になるところを回避!!!

保証会社も匙を投げて裁判一直線だった案件がこのような結果になりました。

オーナー様よりは、凄く感謝される結末です。

以前の記事で書きましたが、、、、
私・・・。持っているんでしょうか?

いや、何かを持っているとしておいて下さい。
マンション管理は運も機転も大事です!

最後に家賃滞納でお困りの大家さんや管理会社にオススメの本をご紹介します。
こういった系統の本としては、一番実用的な本だと思います。
実例をもとに書かれているので、分かりやすさも抜群です。

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